何となく中学校の時のイジメの事を思い出した。自分でこんな事を言うのもどーかと思うけど、セイは誰からも好かれるタイプだったから、イジメなんかとは全然関係なく過ごしてた。 中学に入って、Rと席が前後だったからいつのまにか仲が良くなった。Rはスポーツも勉強もあまり得意なタイプじゃなく、小学校の頃はあまり目立たない感じだったみたい。中学に入って、たまたまセイと気が合ったらしく良く話もするようになって明るくなったらしい。いつも周りのヤツを笑わそうとして、ふざけてばっかりだった。Rはいわゆるお調子者。見た目はお世辞にもカッコイイ奴じゃなかったけど、明るくなって女子からも好かれるようになってたみたい。 天真爛漫とでもいうのか、セイは小学生を無理矢理中学生にした感じだった。誰かを傷付けたりなんかもしなかったし、誰かを傷付ける人が周りにいるなんても思ってなかった。まだ中学1年の頃なんて、女子と同じか女子より身長が低く、友達からみたら一回りも小さい子供に見られてたのかもしれない。純粋って言うのかバカって言うのか、たまたまいい環境で育ったからあんまり刺々しいのには慣れてなかった。 何も知らなく過ごしてたけど、2年になってクラスがかわりRとも違うクラスになった。クラスが変わってしまえば、毎日話す友達も変わる。Rとも多少疎遠になって、セイはセイで相変わらず、誰とでもうまくやっていってた・・・。 2年になってしばらく経ってから、仲の良かった女友達に『最近Rどうしたの?』って聞かれ、『そーいやRに最近会ってないな〜』って会話をした。その友達が言うにはRは最近元気がなく、学校も休みがちらしかった。 RのクラスにRに会いに行ったら、早退したらしく会えなくて、『カラダでも壊したのかなぁ〜』なんてノンキな事を考えてた。部活なんかが忙しくてRの事を忘れてて、しばらく時間が経ってからまた仲の良かった友達に『最近R学校きてないよ。何かあるんじゃないの?』って言われて、Rに何か起きてるのを初めて感じた・・・。  Rのクラスの友達にRの事を聞いてみると、『あいつ暗いから、あんまり話した事がない』とか『M達に目をつけられてるみたい』なんて事を聞かされた。M達はRのクラスの目立つ奴らだった。色々、調べてたらどうやらRはM達のグループに一学期から目を付けられてたらしい。セイはM達をそんな好きじゃなかったけど、部活が一緒の奴がいたりしたから仲が悪い訳でもなかった。M達のグループにはいわゆる不良くずれみたいのもいて、なんとなく付き合い辛かったけど、みんなが言うほど悪い奴じゃないと思ってた。M達にRの事を聞いてみたら、『あいつ調子に乗ってるからシメた』とか『チョットシカトしたら、学校来なくなった』、『お前と仲良かったから、お前には黙ってた』とか言ってた。 1年の時にあんなに明るかったRを思い出したら、絶対チョットしたイジメじゃないのは想像がついた。 Rに電話しようか迷ったけど、Rはセイにイジメられてるってのを知られたくないからこそ、今まで黙ってたんだろーなーって思ったら、Rに電話も出来ない自分に苛立ってた。いろんな友達からRの事を聞いたら、M達に目をつけられてからは、M達にパシられたりジャレてるふりをしながら殴られたり、物を隠されたり、机や椅子を隠されたりなんか日常になってたらしく、お金だってとられてたみたい・・。M達に怒りを覚えたけど、Rがそんなになってたのに全然気付かなかった自分が悔しくて夜に泣きたくなったりもした。そんなになっても、イジメられてる事を隠すRにも腹がたった。 カラダが小さかったセイにはM達が急に恐く見えたけど、Rの為だと思って『Rはセイの友達だからイジメてるならイジメなんてバカな事辞めてよ』なんて、優等生みたいな事を言ってみた。M達は『イジメてはないけど、ムカついたからシカトしただけだよ』とか『今学校きてないし』とか笑ってた。世の中には色々な人間がいるんだなーって思った。同じ学校、同じ先生の授業を受けても、違う人間になるんだなーって。 今みたいに携帯でメールが出来るような時代だったらどんなによかったか・・。Rに電話も出来なくて、Rが久々に学校に来たって聞いたから会いにいったら、丁度M達に囲まれちゃってる所だった・・・。完全に萎縮しちゃって、ほんの数ヵ月前までのRはそこには居なくて、蛇に睨まれた蛙・・、もぅ蛙なんてもんじゃなく情けない姿に見えた。 Rはセイと目を合わせようともしなかった。M達を見ると、セイを見て厄介な奴が来たような目になってた。Rはあの時、セイをどう思ってたんだろ? セイはRに何をしてあければ良かったんだろ? Rはあの日を境に学校に完全に来なくなってしまった。引き金はセイだったのかな? あの日、あの時セイがあの教室にいかなかったら・・。色々考える。 蛇に睨まれた蛙が、いきなりMに飛び掛かって殴り合いになった。初めはRが一方的にMを殴ってたけど、Mはカラダも大きく、Rが100回殴っても蚊に刺された様な感じにしか思わないんだろーなーなんて思ったりもした。周りにいたMのツレははやしたてて、教室は騒然となった。昼休みだったから騒がしくても先生が来るなんてありえないし、たぶん教室のドアは閉められちゃってたんだろーなー。 Rの勢いは最初だけで、気付いたらMにガンガン殴られてた。Rは泣きながらMを殴ろうとしてたけど、あれは痛くて泣いてたんじゃなくて、悔しくて泣いてたんだろーな。セイが反対の立場だったら、絶対そうだと思う。 キャーキャー騒ぎだした女子のおかげで、関係ない男子が止めに入って喧嘩は納まり、Rはその日以来そのクラスに顔を出さなかった。  Rは転校するのを決めていたらしく、最後に学校にきたのかな?。  Rが最後にセイに言った言葉は『悲しい顔するなよー。1年の時は楽しかったんだし、最後にムカつく奴を殴れたんだからいいだろー』だった・・。Rは最後まで、セイの前では明るかった。Rはセイなんかより大人だったのかな? 転校する位なら、チョット位相談してくれてもいいのに・・。セイを巻き込むのが嫌だから相談しなかったのかなー? セイが思ってるほど、Rはセイを友達とは思ってなかったのかなー? イジメのニュースとかを見ると、Rの事を思い出すけど何もわからないまま、また思い出になってしまう。 もうチョットセイが大人だったら、Rを助けられたのになーなんていつも後悔もしたりする。イジメなんてなくなればいいのになー。